日本未病システム学会/健康と病気の間を科学する
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理事長挨拶
写真:日本未病システム学会 理事長 福生吉裕
日本未病システム学会
理事長 福生吉裕

未病リテラシの向上をめざして

少子高齢化社会といわれて久しくなりました。
待ったなしに2025年問題が迫ってきております。
団塊の世代が75歳となり、高齢者が30%以上を占める時代の到来です。
国民皆保険という恵まれた制度を維持できるかの岐路に立たされる日が近づいてきております。

この学会が目標とするエンドポイントは健康寿命の延伸と医療費抑制という相反する問題を同時に達成することにあります。
それが次世代への負担を少なくさせる事になり、ひいては国民生活の安心、安全に繋がるからです。

そのストラテジーとして健康と病気の間にある未病リテラシを向上させ、現実社会で有効に活用できるようなシステム創りであります。
未病により新たな生活の場が広がり産業としての未病ケア現場の実現化が諮られる事でもあります。

超高齢社会に向けて時代は地域包括ケアシステムが動き始めました。
一歩進んだ感がありますが、しかし、病気状態から始まる包括システムはいかにシームレスであっても機能不全に陥る懸念があります。
サスティナブルな健康社会とするには未病がイニシアティブを示し、地域包括ケアシステムの中核を担うシステムが望まれます。

22年目迎える今年、これまでの未病8部会に加え新たに機能性食品部会、運動部会、疫学情報地域部会が新設されます。そして志を同じくする未病医、未病専門指導師が認定され輩出されてまいりました。
学会として少子高齢時代の要請に答えられるよう待機し準備をしております。

日本未病システム学会は日本の医療社会保障システムの健全な継続のサポーターとして、その役割を担ってまいります。

「未病」の由来
「未病」という言葉は日本ではまだ聞き慣れない言葉かもしれません。
この言葉は2000年前の後漢の時代に、中国最古の医学書とされる「黄帝内経」 にはじめて見られます。(資料1)
このなかで、「未病」とは「病気に向かう状態」を指し、この未病の時期を捉えて治すことの出来る人が医療者として最高人(聖人)であるとかかれています。
 

日本では貝原益軒が84歳にして著した「養生訓」に登場しています。

聖人は未病を治すとは、病いがまだおこらざる時、かねてつつしめば病いなく、もし飲食・色欲などの内慾をこらえず、風・寒・暑・湿の外邪をふせがざれば、其おかす事はすこしなれども、後に病をなす事は大にして久し。内慾と外邪をつつしまざるによりて、大病となりて、思ひの外にふかきうれひにしづみ、久しく苦しむは、病のならひなり。病をうくれば、病苦のみならず、いたき針にて身をさし、あつき灸にて身をやき、苦き薬にて身をせめ、くひたき物をくはず、もにたきものをのまずして、身をくるしめ、心をいたましむ。


最近では予防医学への関心がたかまり、辞書にも「未病」という言葉が
普通に掲載されるようになりました。

 「 病気ではないが、健康でもない状態。
自覚症状はないが検査結果に異常がある場合と、自覚症状はあるが検査結果に異常 がない場合に大別される。骨粗鬆症、肥満など。」
ス−パ-大辞林より               

「未病期」の状態
日本未病システム学会では、(図3)のように「自覚症状はないが検査では異常がある状態」と「自覚症状はあるが検査では異常がない状態」を合わせて「未病」としています。
そして「病気」とは交叉部位である「自覚症状もあるが検査でも異常がある状態」としています。
「未病期」は自覚症状のあるなしで「西洋型未病」と「東洋型未病」に分けることができます。
これまで看護は主に西洋型医療の一貫として、まさしく病気の中心者(患者)と接してきましたが、自覚症状のない西洋型未病期に属する人は多く、いわゆる病気予備軍イコー ル未病期でもあるわけです。

(図3) Y.Fukuo 2000
「未病」の分類・対象

未病はM-TA、TB、TC、M-Uに分類されます。(表1:未病の分類参照)「自覚症状はないが 検査では異常が見られ、放置すると重症化するもの」(M-T)と「自覚症状はあるが検査では 異常がないもの」(M-U)としています。

M-TAは通常の検査、保険でカバーできるところで異常が確認されるものです。
M-TBは特殊検査で異常が確認されるものです。

自費で行う検査で異常が判明するものとして、M-TCは遺伝子診断によってわかる未病、 M-Uは東洋医学的な未病で「自覚症状があるけれど検査では明確にできない」状態をさします。西洋医学的未病の観点からは、「検査を行うことで発見できる異常状態」です。

未病の対象となるのは、境界域高血圧、高脂血症、境界域糖尿病、肥満、高尿酸、動脈硬 化、骨粗鬆症、無症候蛋白尿、B型肝炎ウィルスのキャリア、無症候性脳梗塞、潜在性心不全、 脂肪肝などがあり、さらに広がることが予想されます。 一方、シンドロームX、インスリン抵抗性はアメリカからきた未病として捉えられ、現在ではメタボリックシンドロ−ムは、まさしく「未病」といえるでしょう。

M-T 自覚症状はないが検査で異常が見られ、放置すると重症化するもの    
  1. 検査(一般)で異常があるもの
  2. 特殊検査で異常が見られるもの
  3. 遺伝子レベルで異常があるもの

M-U 自覚症状はあるが検査では異常がないもの

「未病期」の看護
当学会では、この未病期から病気への進行を食い止めることを「一次的未病看護」とし、入院患者における重症化の予知、予防、再発予防を「二次的未病看護」としています。
これまでの病気になってからの看護、重症化してからの看護から視点をかえて、「未病看護」が今後の新たな分野といえます。
 
一般社団法人 日本未病システム学会事務局
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